部屋の隅っこで書く技術ブログ

Web系企業勤務のエンジニアリングマネージャのブログです。技術ブログと称しつつ技術にまつわる個人的な話題が多めです。

フレームワーク:開発合宿@土善旅館

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これはなに

2019/04/27-29、つまり10連休最初の3日間に土善旅館に開発合宿に行ってきました!

mohikanzのメンバーが合計21名で宿泊し、3日にわたるもくもく会を行ったのでした。

旅館の開発環境はすばらしく、それぞれが大きく進捗を出して帰ってきました。

何人かがブログに書いてくれてたりもしています。

mattenn.fkgt.net

www.aquasword.jp

note.mu

実は自分、この合宿の幹事をつとめておりました。

企画から当日の運営までほぼすべてを1人で行い合宿の運営ノウハウが手元に残ったので、「色んな人が開発合宿を企画してくれればよいな」という思いでフレームワークの形でまとめることにしました。

その成果物がこの記事です。

免責事項

フレームワークはあくまで有志がまとめた非公式のものです。文責はすべて作成者@expajpにあります。本フレームワークの内容自体について、旅館へ問い合わせを行うのはおやめください。

各種情報は2019年4月末時点のものなので、変更されている場合がございます。実際に合宿を行う場合は宿のWebサイトを隅から隅まで読んだ上で、必ず宿にご確認ください。

情報の変更があれば追記の形で対応するので、@expajpまでご連絡いただけると助かります。

もくじ

土善旅館の概要

開発合宿プランを提供している、千葉県香取郡にある旅館。Webサイトはこちら↓。

www.dozenryokan.com

開発合宿プラン

  • 館内全域でストレスない速度の無線LANが利用可。室内では有線LANを利用することもできる
  • 24型FullHDのサブディスプレイ・電源タップが豊富にあり、プロジェクター・スクリーン・レーザーポインター・ホワイトボードが使用可
  • 24時間利用可能な準天然温泉、マッサージチェア、人をダメにするソファが利用可能でリラックスした開発ができる
  • 初日のチェックインは昼12時から可能で、最終日は開発部屋が15時まで利用可能
  • ねこ完備

料金体系とおすすめのプラン

一人あたりの料金は、(プランごとの基本料金+開発部屋代+飲食物持ち込み料orドリンクバー設置料)×(泊数)が基本です。

料金は変更される場合があるため、詳しい値はあえて載せていません。旅館のWebサイトを参照してください。

開発部屋を別部屋にするのと、飲食物を持ち込めるようにするのは必須と言って良いです。他の要素は宴会をどのようにするかと相談です。

プラン選択については「ロードマップ」→「開催決定〜1ヶ月前:合宿のコンテンツを決定」を参照してください。

アクセスとおすすめの移動手段

  • 鉄道:JR笹川駅
  • バス:東庄バス停
    • 銚子~東京駅・浜松町線を利用すれば2時間ほど
    • 便によっては3時間かかる場合もある
    • 乗換がなく大荷物を運ぶのが苦にならないため、こちらの移動方法がおすすめ

利根川沿いの静かな町中にあり、最寄のコンビニまで徒歩10分弱です。

口コミ

qiita.com

dasalog.hatenablog.jp

このフレームワークが想定しているシチュエーション

社外の技術者コミュニティで、3連休(またはそれ以上)を利用して合宿を開催する

合宿実施までのロードマップ

  • 半年前
    • 合宿の企画、宿の仮予約
  • 4〜5ヶ月前
    • 参加者の仮募集と開催可否の決定
  • 開催決定〜1ヶ月前
    • 合宿のコンテンツを決定
  • 1ヶ月前〜2週間前
    • 詳細な出欠調査、および人数の最終確定
  • 2週間前
    • 料金見積の依頼、利用する備品類を宿に連絡
  • 2週間前〜1週間前
    • 会費確定、合宿のしおりを作成
  • 合宿当日
    • 鍵の管理
    • 食事時の連絡

半年前:合宿の企画

「開発合宿をやりたい」という声がコミュニティから挙がったら、まず幹事を選出してください。複数人で幹事をやる場合も、宿との連絡を行う代表者を1名決めましょう。

幹事の条件は「昼間に携帯に電話がかかってきても対応できる人」であることです。ときどき、おかみさんから連絡が来ることがあります。

幹事が選出されたら、以下を決めましょう。

  • 日程
  • コンセプト

いずれも、参加者を仮募集するのに必要な情報です。

日程は、カレンダーを眺めて半年くらい先の3連休にしましょう(これでほぼ一意に決まる場合がほとんどでしょう)。

下手に皆の意見を伺うよりは、決め打ちしてしまった方が募集がやりやすいです。

コンセプトは、簡単なもので良いので「その合宿で何をするか」を一言で表したものにしましょう。とりあえずこれがあれば人が集められるし、コンテンツを詳しく決めていくにあたって判断軸に迷わないことが多いです。

例えば、以下から好きなものを選んで組み合わせると良い感じになるでしょう(あくまで一例)。

ちなみに、今回自分が企画した際のコンセプトは「テーマを決めないもくもく会」でした。

半年前:宿の仮予約

日程とコンセプトが決まれば、次は仮予約です。

土善旅館は開発合宿・弓道合宿・原稿合宿の会場として大人気であるため、3連休を利用する場合は半年前には仮予約しておかないと埋まります

宿に電話して日程と開発合宿プランを利用したい旨を伝え、仮予約で男女1部屋ずつ押さえてもらいましょう。ちなみに、このとき団体名を伝えることになります。

このとき、開催自体の決定をいつまでに行えばよいか聞いてください。だいたい当日の4〜5ヶ月前です。それに従って参加者の仮募集を行います。

4〜5ヶ月前:参加者の仮募集と開催可否の決定

参加者の仮募集を行います。これの目的は以下の2つです。

  • そもそも開発合宿プランの使える5名が集まりそうか調べる
  • 必要な部屋の規模感を宿に伝える

目的が2つあるので、「確実に参加できる人」と「参加できないかもしれない人」を分けて募集する必要があります。

おすすめは、男女別に「参加する(確度80%以上)」「参加する(確度60%以上)」の2通りで集め、△での回答を許さないことです。

このようにすれば、

  • 確度80%以上が幹事含め6人以上になれば、開発合宿プランが利用可能と判断できる
  • (80%以上の人数)+(60%以上の人数)*2/3 で男女それぞれ大雑把な人数が計算でき、これを宿側に伝えられる

ため、出欠変更の自由を残したまま当日の人数をかなり正確に握ることができます。

出欠募集のツールは「伝助」と「調整さん」が二大巨頭ですが、調整さんは「△を許さない」という設定ができないため、伝助を使いましょう

densuke.biz

また、この段階で「男部屋にも女部屋にも入りたくない人」がいるかどうかは調べておきましょう。別に個室を用意してもらう必要が出る場合、早い段階で宿側に伝えておくのがスムーズだからです。

デリケートな問題なので調査方法が難しいですが、「部屋をどうするか」に焦点を絞れば問題ないと思います。本人と個別に相談してください。

以下が伝助で調査する内容のテンプレです。適宜書き換えてご利用ください。

候補日程:
男部屋:参加する(確度80%以上)
男部屋:参加する(確度60%以上)
女部屋:参加する(確度80%以上)
女部屋:参加する(確度60%以上)
参加できなくなった

イベント説明文:
開発合宿を行います。部屋の確保のため、仮出欠にご協力ください。

日程:20XX/XX/XX-XX
場所:土善旅館

男部屋・女部屋以外の別部屋をどうしても用意してほしい方は、入力前に幹事にご相談ください。

回答の選択肢:
「○×」から選択

調査が終わったら宿側に開催可否、男女別の仮の人数、3つ目以降の部屋が必要かどうかを連絡してください。

開催決定〜1ヶ月前:合宿のコンテンツを決定

合宿で開発時間中以外に何をやるかをコンセプトに従って決めます。

いつ何をやるかのスケジュールを具体的に組むことをおすすめしますが、最低限「宴会をどういう形で行うか」はここで考えましょう。

宴会の形式の選択肢は大まかに以下の3通りで、それぞれのメリデメは以下の通りです。

  • 宴会料理付プランにする
    • メリット:準備がいらない
    • デメリット:割高、開発時間が大きく削られる、飲みたくない人もある程度参加しなくてはいけない
  • ミニドリンクバーをお願いする
    • メリット:割安にお酒が飲める、持ち込み料も無料になる、おつまみを用意してもらえる、宴会を完全自由参加にできる
    • デメリット:持ち込みのみに比べると割高、開発時間が削られがち
  • 持ち込んだお酒のみを飲む
    • メリット:持ち寄りの場合は会費が最小、宴会を完全自由参加にできる
    • デメリット:買い出しが大変な上にミニドリンクバーより割高になる可能性がある

どれを選ぶかは、どれくらい進捗を出したいかとの相談といったところでしょうか。

ミニドリンクバーについては料金体系がやや複雑なためサイト上には掲載されていませんが、メールフォームから連絡するとPDFが送られてきます。大雑把に言うと、

  • 基本4ドリンク+追加ドリンクを選択
    • 基本ドリンクにもアルコールが含まれている
    • 追加ドリンクを選べる数は、ランクによって違う
  • 申し込むと持ち込みが無料になる
  • さらに追加料金を払うと、おつまみも宿側で用意してくれる

というオプションです。

宴会をちゃんとやりたいが、安く上げたい&買い出しが面倒な場合はこれを選びましょう。

1ヶ月前〜2週間前:詳細な出欠調査と人数の確定

コンテンツが確定したら、詳細な出欠調査とともにあらためて参加者を募集します。

遅くとも2週間前には確定人数を送れるように募集期間を計算しましょう。

出欠調査を開始する前に、以下を確定させてください。

  • 行き帰りに使う交通手段
  • 押さえてもらっている部屋に宿泊できる上限人数

行き帰りに使う交通手段を統一するのは、駅・バス停から宿までの送迎回数を減らすためです。

交通手段としておすすめなのは、浜松町バスターミナルから東庄までバスに乗ることです(「土善旅館の概要」→「アクセスとおすすめの移動手段」も参照)。次のバスが1時間後のため多少遅れても次の電車で良いやと考える輩を減らせます。

また、部屋の上限人数の確認も必須です。参加希望者が増えすぎた場合のため、あらかじめ先着人数を確定させておいてください。

上記が確定したら、いよいよ出欠調査開始です。調査すべき項目は以下のとおりです。

  • 幹事が決めた交通手段を利用するか
  • 男部屋or女部屋(orその他)
  • 各日の朝食・昼食・夕食が必要かどうか
  • 各日に宿泊するかどうか
  • 食品アレルギーの有無
  • 猫アレルギーの有無
  • バスタオル(200円)を借りるか
  • 浴衣(300円)を借りるか
  • ミニタオル&ハブラシセット(200円)を買うか

調査開始時、以下を同時に連絡してください。

  • 参加を表明したあとキャンセルすると、キャンセル料を徴収する
  • 1泊2食付なので、宿泊しない場合に夕食や朝食は食べられない&夕食や朝食を食べない場合も宿泊料金の割引はない
  • 男部屋・女部屋それぞれ先着何名で締め切るか
  • 幹事が決めた交通手段を利用しない場合、どの交通手段で来るかをコメントすること
  • 食品アレルギーがある場合、何アレルギーかをコメントすること
  • 猫アレルギーがある場合、どの程度のものかコメントすること
    • 同じ部屋にいるだけで駄目か、触らなければOKか
  • 質問がある場合はコメントに書くか幹事まで連絡すること

仮出欠と同じく、曖昧な回答を許さないため伝助を使用しましょう。以下がテンプレです。適宜書き換えてください。

候補日程:
現地に直行
男部屋
女部屋
食品アレルギー要考慮
猫アレルギー要考慮
1日目昼食(XX:XX)
1日目夕食(XX:XX)
1日目宿泊
2日目朝食(XX:XX)
2日目昼食(XX:XX)
2日目夕食(XX:XX)
2日目宿泊
3日目朝食(XX:XX)
3日目昼食(XX:XX)
バスタオル
浴衣
ミニタオル&ハブラシセット

イベント説明文:
開発合宿の参加を募集します。仮出欠を入れていなくても入力できます。

日程:20XX/XX/XX XX:XX ○○集合 〜 XX/XX XX:XX ××解散
場所:土善旅館

* 参加を表明したあとキャンセルすると、キャンセル料を徴収します
* 1泊2食付なので、宿泊しない場合に夕食や朝食は食べられません
* 逆に、夕食や朝食を食べない場合も宿泊料金の割引はない
* 宿のキャパシティの問題で、男部屋・女部屋それぞれ先着○名で締め切ります
* 現地に直行される場合、どの交通手段で来るかをコメントしてください
* 食品アレルギーがある場合、何アレルギーかをコメントしてください
* 猫アレルギーがある場合、どの程度のものか(同じ部屋にいるだけで駄目か、触らなければOKか)をコメントしてください
* 質問がある場合はコメントに書くか幹事までご連絡ください

回答の選択肢:
「○×」から選択

2週間前:料金見積の依頼、利用する備品類を宿に連絡

出欠が確定したら、まず昼食について決めます。

昼食は宿に作ってもらうか、近隣の飲食店に送迎してもらうか選べます。人数が多い場合や時間を有効に使いたい場合は、宿に作ってもらうのが良いでしょう。

昼食をどうするか決めたら、以下の内容を宿に伝え、同時に見積を依頼してください。

  • 食事について
    • 各食事ごとの人数
    • 昼食を宿に依頼するかどうか
    • 食品アレルギーについて
      • 何人いるか
      • それぞれ何のアレルギーか
      • 途中で帰る者はいるか、いつ帰るか
    • 食事の開始時間(朝:7-8時、昼:要相談、夕:18-19時)
  • 宿泊について
    • 各夜の宿泊人数
    • 宿泊プラン(エコノミーor宴会料理付)
    • 開発部屋を寝室と別に用意してもらうオプション(必須)
    • 飲食物持ち込みorミニドリンクバー(いずれか必須)
      • ミニドリンクバーを使う場合:いつ使うか、どのドリンクを選ぶか、おつまみは作ってもらうか
  • 行き帰りの送迎時間と人数
  • チェックイン・チェックアウト予定時刻
  • 使用するレンタル品とその数
  • 使用する有料アメニティとその数
  • 猫アレルギーの者がいるかどうか
  • その他、参加者から出た質問

なお、使用に申請が必要なレンタル品は以下の通りです。

  • 外部ディスプレイ
  • 人をダメにするクッション
  • プロジェクター、スクリーン(100or200インチ)
  • モノクロプリンター
  • 変換ケーブル

外部ディスプレイは人数分・人をダメにするクッションはあるだけ出してもらい、ほかはコンテンツに合わせて選択してください。

外部ディスプレイは2019年4月末の合宿だと24型FullHDが16台・4:3の17型が4台利用できましたが、状況が変化している可能性があるので問い合わせましょう。

この他、ホワイトボードと電源タップは申請なしで利用できます。

他、自動車で来る人がいる場合は同時に連絡しておくとスムーズです。駐車場所について相談しておきましょう。

2週間前〜1週間前:会費確定、合宿のしおりの作成

料金の見積が来たら会費が確定しますので、合宿のしおりを作りましょう。最低限、

  • 会費
  • 集合時間と解散時間
  • 持ち物

が書いてあれば良いので作成は大した手間ではないです。こちらもテンプレを用意したのでご利用ください。

esa-pages.io

合宿当日:料金の支払

クレジットカードは利用できませんので、現金で当日払いを行うのがスムーズです。

料金の回収&支払を幹事の合宿最初のタスクとしてください。遅れてくる人が数名なら幹事の財布から出しちゃいましょう。大金を一箇所に集めておくのは危険です。

合宿当日:鍵の管理

寝室と開発部屋が分かれるのですが、各部屋の鍵が1つしかないために鍵が行方不明になりがちです。

幹事は鍵の位置を常に把握しておきましょう。以下のようなルールを推奨します。

  • 基本は開発部屋においておく
  • 夜、最後に開発部屋を出る人が鍵を寝室に持っていく
  • 開発時間中に寝室で寝る人は枕元においておき、他の人が取れるようにしておく
  • お風呂には鍵を持っていかない
    • 誰かいる場合は託す
    • 寝室に誰もいなくなる場合は、開発部屋に戻す

合宿当日:食事時の連絡

食事は唯一全員が一箇所に揃うタイミングなので、次の食事の時間までの日程や気付いたことを連絡してください。

食べ終わった人がすぐ開発に戻れるよう、食前を推奨です。

幹事を務める上でのTips

  • このフレームワークの内容を鵜呑みにしすぎず、変化している可能性がある場合は必ず宿に確認を取りましょう
    • 大事なのは必要十分な連絡です。多すぎても少なすぎても駄目です。必要な情報を確実に宿に伝えるよう心がけましょう
  • 宿の方はみなさん非常に親切ですが、甘えないように。大人としての行動を心がけましょう
  • 参加者が確定したら連絡手段を確立しておきましょう
    • コミュニティにSlackがある場合、専用チャンネルを立てるのがおすすめです
    • 合宿中は雑談チャンネルと連絡用チャンネルを分けると便利です
  • 幹事は幹事であって奴隷ではありません。あなたもちゃんと進捗を出しましょう

まとめ

土善旅館さんは素晴らしい旅館で、恩返しの意味をこめ、フレームワークとしてまとめました。

予約が取れなくなるのはそれはそれで困りますが(笑)、もっと多くの方に知ってほしいのです。

このフレームワークの訂正や追記の提案や、使ってみました報告などがあれば喜びます。

みなさん、良い開発合宿を。