expajp's Permanent Way

技術とマネジメントをベースに、読書・カンファレンス・近況などを書いています。

「アジャイル開発とスクラム 第2版」を読んだ

どんな読み方をしたか

  • まずは点検読書。30分ほどで全体の構成を見て、読み方を決める
  • 3部構成で部ごとに内容が全く違いそうだったので、読み方を分けた
    • 第1部はほとんど既知の内容。流し読みして気になった箇所だけ読み込む
    • 第2部はケーススタディなので拾い読みに向かない。順に読んでいって気になった箇所に感想を書いた付箋を貼る(刻読)
    • 第3部はしっかり読みたい。内容を要約しながら読む

感想

「守破離」に沿った3部構成

  • 守:アジャイル開発とは何か、スクラムとは何か
    • 定義の解説
  • 破:アジャイル開発とスクラムを実践する
    • ケーススタディ。思ったよりしっかりセオリーを破る話が出てくる
  • 離:アジャイル開発とスクラムを考える
    • 原著論文に触れることで温故知新を図るかと思いきや、アジャイルスクラムに足りない視点を野中先生自らフォローしている

「スクラム解説本」ではなく「スクラムを新しい視点で見る本」

  • スクラムを解説する本はたくさんあるが「何が足りていなくて、どう拡張すべきか」まで掘り下げて書いている本はこれが初めて
    • しかも書いているのは野中郁次郎先生。ありがたや
    • 「持続的な会社」「リーダーとして育つ人材」。スクラムをやりながら矛盾を感じている箇所を看破された気分
  • 「スクラムを知的創造モデルととらえる」見方にも膝を打った
    • バックログアイテムをアサインする形式を取ると(取らざるを得ないが)、スクラムが形骸化しやすいのはこの辺りに原因がありそう
    • すべてのスクラムイベントがSECIモデルのどこかに対応する。スクラムイベントでないがリファインメントもそう
    • これを読んで、スクラムに対する理解に縦軸をもらったような気がした

知的創造モデルとして捉えるとAIの使い方が見えてくる

  • SECIモデルのうち、AIが得意なのは”Combination”と”Externalization”
    • ”Externalization”には使う側のリテラシーが必要
    • “Socialization”や”Internalization” はAIには無理。協働FWとして未だにスクラムは有効
    • ryuzeeさんが説明している「アラインメントのコストを下げる」「合意形成にコストをかける」1のはこれが念頭にありそう

メンバーシップ型雇用が前提の原著スクラム

  • 平鍋さんとの対談を読んでも思ったが、原著のスクラムはメンバーシップ型雇用が前提にありすぎるように思う
    • 帰納的に共通点を見出す研究なので、それ自体は悪いことではない
    • 原著スクラムは三日三晩語り合うようなウェットなコミュニケーションを前提としている
  • アジャイルスクラムが原著にある「人に関する視点」をバッサリと切っているのも、ジョブ型雇用と折り合いをつけるためではないかな
    • ただ、勘違いしてはいけないのは「源流はあくまで密な人間関係を前提としている」こと。ここを読み違うと理解がなかなか進まない
    • 自分は「米国産だから個人主義が背景にあるだろう」と無意識に思ってしまっていた
    • 今回やっと認識を改めた。あまり得意ではないけど、まあやっていくしかない

次読む本は「学習する組織」にせざるを得ないなあ。良い本でした

それではまた。

「エンジニアのための自己管理入門」に救われた話

「エンジニアのための自己管理入門」を読み終えました。

本書は自己管理を通して日々の生活に「余白」を作り出し、成果を上げてスキルを磨き、キャリアを前進させる方法を述べた本です。

www.shoeisha.co.jp

最近、読書記事は手元のメモ書きをそのまま出していますが、本書についてはしっかり書こうと思います。

というのも、本書が自分を忙しさから救ってくれたからです。

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「マネジメント[エッセンシャル版]」の4章「社会的責任」をマインドマップにまとめた

写真は毎回使い回しです。ごめんね

過去の記事

expajp-tech.hatenablog.com

マインドマップ

感想

  • 企業の社会的責任について述べた章
  • ラストの節が附録なので、構成はシンプルだが意識して読まないと迷子になる
    • 「企業の社会的責任」で問題提起
    • 「社会的影響と社会の問題」で問いのスコープを限定
    • 「社会的責任の限界」で回答を提示し、「企業と政府」で補足
    • 「プロフェッショナルの倫理」は附録
  • 責任と権限の限界」がキーワード
    • 企業の社会的責任を論じるにあたり、社会における企業の権限と一体のものとして論じている
    • そのため、「企業と政府」で社会における企業の権限を提示
  • 「企業の社会的責任」は都合よく使われている言葉という印象だったが覆された
    • 本書にもあるように実際の事業活動で起こった瑕疵を保障するのは仕方ない
    • ただ、本来は政府が負う(=税金を通じて国民全員が負う)べき社会問題を私企業の活動にタダ乗りして解決しようとすべきではないと思っていた
      • 反権力を気取って無闇に大企業に食ってかかる人々の印象がよくない、というのはある
  • 本書では「自らが社会の中で持つ特有の機能に応じてちゃんと線を引く」ことが明示されていた
    • 政府と企業が必要な機能を分散して持っているので、それに応じて権限と責任が発生する、というモデルは画期
      • 政府を相対化するからには企業にも社会的責任を負ってもらわないと困るよ、ということか
    • 独占事業が多数あるという意味で政府が特権的な地位にあるのは間違いないけども、確かに資本主義を突き詰めるとこの構造になるよね
  • また、「事業にする」「ロビイングする」という身も蓋もない話が最初に出てくるのも現実路線で好感が持てる
    • というか「ロビイングする」がこの章の本質という気すらしてくる
  • 「責任と権限はセット」という発想は、前章の「分権はマネジメントの権限を拡大する」という文言を補強してくれた
    • メンバーに責任の一部を分離することで、マネジメントが担える責任の範囲が広がる。すなわち同時に権限も広がる
  • 本書を読み始めてずーっと曖昧だった「マネジメント」という言葉の定義がやっと分かった気がする
    • たぶん「ある組織における経営管理をする機能を持つ個人、またはグループ」。経営者個人と断定するとおかしい記述がところどころにあったのでそうだろうと思っていたけど、19節でやっと確定した
    • マネジメントも雇われの身である可能性に言及している。早く言ってよ
  • 次の章からはいよいよ「Part.2 マネジメントの方法」。もう少し具体的な話になりそう

「マネジメント[エッセンシャル版]」の3章「仕事と人間」をマインドマップにまとめた

過去の記事

expajp-tech.hatenablog.com

マインドマップ

感想

  • ピープルマネジメントについて述べた章
  • 論理展開は2章ほど明確ではないもののやはり綺麗
    • 仕事と労働の切り分けを最初にやる
    • その後、各々の問題領域を分解する
    • 仕事は論理的に定義可能なので、マネジメントの役割を明示
    • その後「責任」にフォーカスを当てて、5つの次元に分かれる労働の問題を「やりがいのある仕事」とアラインメントする
  • キーワードは「責任の組織化
    • これはメンバーに権限と責任をセットで与えることを指す
      • 個々人が主体的に責任を負うことで成功した事例が複数挙がっている
    • 個々人に責任を持ってもらうには「仕事のやりがい」が必要だと述べて、仕事と労働を接続する
      • 「心理的次元」の問題はここで解決
    • これは身分の保障とセットであるとエクスキューズを入れる
      • いわゆる「社会的次元」「経済的次元」の話はここで解決
    • 最後に「権限と権力の混同」を挙げて「政治的次元」の問題も解決
    • 責任の組織化によって「マネジメントの持つ権限が拡大する」と述べられている
  • 耳が痛い。マネジメントは「仕組みづくり」だと思っていたが、それだと片手落ちだった
    • すなわち「分析・総合・管理・道具」を行うことはできるが、そこから先の仕事をやってもらう領域でサーバントにやりすぎると、権限を拡大していくことができない
    • マネジメントの権限を拡大していくことができないと、足元のことしか処理できず事業がスケールしない
      • 前職でうまく行かなかった部分はここだなあ
  • 「やりがい」はネガティブに語られがちだがやっぱり大事
    • 究極、実行する側の主観なので押し付けになりがちではある
    • ただ自分で「やりがいがある」と思える仕事を振るのは大事だよな
    • そして本書ではやりがいの基盤となる三条件についても述べられている。手厚い
  • 継続学習が2度にわたって述べられていて、「学習する組織」の優先順位上げるか……となった

「体力」の正体を考えてみた話

あおい(@_a0i)さんの記事を読みました。

findy-code.io

まずは記事の感想を。

あおいさん、素直にかっこいいと思いました。

自分と向き合って主体的に生活をデザインしている。

そして、単に「諦める」のでなくちゃんと「選択と集中」を実践して、キャリアを前に進めている。

それにしても、相変わらず読ませる文章ですよね。境遇が全然違う1ので共感できるところばかりではないのに、スルスルと読めてしまいました。

自分もこんな文章が書けたら良いな。

しかし、読んだあとひとつ疑問が湧いてきました。

「そもそも体力ってなんだ?」

よくよく考えたら「体力」って具体的に測定できないですよね。

健康管理アプリを入れても人間ドックを受けても「体力」なんて項目はない。

日常的によく使う言葉だし、他人と意味のすれ違いを感じたこともないけれど、実は曖昧な言葉です。

そんなわけで、記事をきっかけに「体力」について考えてみたので簡単に記録を残します。

なお、念のため言っておきますが曖昧な言葉を使っているから記事が良くなかった、と述べる意図は全くありません。誤解なきよう。


  1. 自分は平均よりおそらく上の体力をもった男性
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カジュアル面談100回やったら事業の解像度が上がった話

現職ではエンジニア採用に力を入れていて、カジュアル面談を月に20回以上やっています。

そうすると必然的に会社紹介を何度も何度もすることになります。現職に移って数ヶ月、ほとんどずっとこの状態なので、累計で100回は超えているでしょう。

そんな生活をしていると、自社事業のマーケットやビジネスモデルについて不思議と解像度が上がっていきます。

資料内の情報どうしが線として繋がるようなひらめきを得て、資料と説明を改善したことが何度かありました。その度に理解が進むのです。

我ながら、100回もやると質が上がっていくものですね。

この経験から「『読み』の整理学」に出てくる「素読」の話を思い出しました。

「思考の整理学」で有名な外山滋比古先生の本です。

www.chikumashobo.co.jp

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「採用の思考法 増補改訂版」を拾い読みした

拾い読み

  • 本全体の構造・論点・想定読者を短時間で把握する
  • この本で「どんな疑問や課題を解決できそうか」を見極める
  • 理解は目的にせず、読むかやめるかの判断に徹する

全体構成

  • 5章構成
    • 1章 採用をなめてはいけない
      • 陥りがちな勘違いを解消する
      • 採用が会社にとって大切な理由
    • 2章 いい採用ができない会社の5つの理由
    • 3章 いい採用を実現させるために案外やっていないこと
      • 「誰を採用するか」について重要な考え方を提示する
    • 4章 採用戦略を5ステップで立てる
    • 5章 いい採用を実現させる具体的なステップ
      • 採用プロセスの設計
      • 求人票やスカウトメールの書き方
      • 面接や内定者フォローの仕方
  • 3章までは短い。4章は100ページ・5章は180ページと後半にウェイトが寄っている
  • 各章にまとめがあるが、5章はなし
    • 5章はノウハウ集のためか

どんな疑問/課題が解決できそうか

  • 採用戦略の立て方
  • 戦略の各ステップで何をすべきか
  • 自分が責任を持っている箇所で何ができるか

今後どう読み進めるか

書いてある内容を図に起こして、ふりかえりをする

ここまでの感想

  • 採用に関して、心構えから始まり戦略・戦術へと至る綺麗な構成で網羅的に語っている
    • 初心者が最初に読む本としては、内容は悪くないのかも
  • しかし、自分が好きでないタイプの本の特徴を持っている
  • 特徴①:水増し
    • 行間がやたら広い
    • 著者が読者に口語で語りかける形式
    • 事例や小話が無駄に多い
  • 特徴②:雑で刺激的な言葉選び
    • 「人財」「⚪︎⚪︎力」のような定義が曖昧で耳障りの良い言葉を勝手に定義して使う
    • 「ダメ営業」のような無駄に刺激的で耳目を引く言葉を使う
  • 見出しが細かく目次が大ボリュームになっていることを含めて「忙しい人が片手間にパラパラ読んで、分厚い本を読んだ満足感を得られる構成」になっていると思う
    • 本当にこれを狙ってるんだとしたら、それは読者を舐めてることにならないか?と思うがなあ
    • この手の本はよくあるので、著者の意図でなく編集の結果そうなった可能性もある
  • 少なくとも自分は舐められているなと思った
    • 自分の側も、情報をつまんで適切に活かしたり、ふりかえりのきっかけを得たりする方向で読んでいく