雑に1年を振り返る2020
あけましておめでとうございます。
2020年は大変な年でしたが皆さんお疲れさまでした。今年は三ヶ日休んだらもう出勤なので、そわそわしながら書いています。
「雑に1年を振り返る」記事は2017年に初めて書いているのでもう4回目となりますが、今年はマネジメント業が中心になったり、勉強会での登壇がゼロだった*1り、私生活が忙しかったりで2020年は「技術的にあれやりました、これやりました」という記事は書きづらい1年となってしまいました。
そのぶん仕事でチームの仕組みづくりを頑張ったり、たくさん本を読んだり、副業を始めたり、EMの学習内容を取りまとめて記事にしたりしているので、「今年はなにもできなかった、深く反省してます」ということではありませんが、内容的な意味で今年は例年と毛色が違う感じの記事となります。
ただ、自分語りの記事という意味では100%例年通りですので、お付き合いしても良いよという方のみ、どうぞお付き合いください。
昨年の同様の記事はこちらとなります。
TL; DR
- 2020年はリーダー業に勤しみ、EMアドベントカレンダーに渾身の記事を出せた
- 読書法が固まってきて本の消化ペースが上がった
- スペシャリストへの憧れとそうなれない自分とのギャップに苦しんでいたが、ジェネラリストも悪くないと思えた
仕事のこと
2020年はチームリーダーとしての仕事が中心になりました。
- チームの仕組みづくり
- コードレビュー
- 採用
が主な仕事でした*2。
チームの仕組みづくり
現在は自社サービスを扱うチームにいて、機能改善・問い合わせ対応と新機能開発を同じチーム内で行っています。 そのうち、機能改善・問い合わせ対応のグループにScrumを導入しました。
- 事業側が要望をチケットとして起票する
- プロダクトオーナーがチケット(PBI)を並び替える
- チケットを上から順に相対見積(リファインメント)
- 週に一度のスプリント計画で今週行うタスクを決める
- ベロシティを計測して公表することで、事業側に開発の見通しを伝える
という流れで毎週チケット消化を行っています。
それまでは問い合わせに優先順位をつけて対応できなかったり、チケットを手の空いた人に都度アサインしたりしていたため、問い合わせ担当やリーダー業の負担が大きくなっていました。
また、事業側からの要望の対応時期が明言できなかったり、手を付けた頃にはもう陳腐化したりしていました。
自走できる仕組みを入れてタスクの優先順位をつけ、見積によって見通しを持てるようになったことで、これらの問題が一気に解決しました。
特に大きかったのはリファインメントを開催するようになったことで、
- チケットが見積できるレベルまで詳細化されているか検討できる
- そのチケットを処理するのに必要なドメイン知識を持ち寄れる
- 実装案を話し合える
などが一気に可能になりました。
これによって実装について相談するハードルが下がった上にドメイン知識の共有が進みました。
また、詳細化がイマイチなタスクを見積保留扱いとして着手を遅らせられるので、事業側に起票内容を詳細化するインセンティブを与えられています。
週1時間×人数分かけられる工数は減っているのですが、結果的に開発の高速化に繋がっています。
ほか、チームに合わせてScrumにのっとってない部分もあるのですが、これ以上書くと弊社の技術ブログのようになってしまうので、この記事ではここまで。
コードレビュー
開発が高速化したことやRailsアップグレードがあったこと、新機能開発のPLをやったりしたことから、めちゃめちゃコードレビューしました。
2019年のDDD本読書会の記事で「良い設計の基準が持てるようになった」と書きましたが、それが非常に役に立っています。ちゃんと動くけどイケてない設計のコードが上がってきたときに気付く感度が上がった上、そのモヤッと感をうまく言語化できるようになったと思います。
あと、実際にローカル環境で動かすとコードだけでは見えない不具合や片手落ちがポロポロ出てくるので、実際に動かすの本当に大事だなと思っています。
それから、社内の輪読会でこれを読んだのも大きかったですね。
採用
2019年に引き続き、採用面接を行っていました。
実際に入社した方の話を聞くと一次面接から技術の話をするのは珍しい*3らしく、ウデのある人にちゃんとハマれているのは嬉しい限りです。
面接する側としてもウデのある人に会えるとテンションが上がるし、自分の力では達成できない実績をお持ちの方には純粋に尊敬の気持ちを伝えているので、それが良かったのかも知れません。
ただ、採用面接する以上はお見送りする人ももちろんいます。あまり具体的なことは書けないのですが、選考の過程でちゃんとコードを書いてもらうのは大事だなと思います。
最近はエンジニアリングマネージャの選考もやっていますが、そもそもWeb系自社サービスの会社で組織マネジメントやってた人を見つけるのはものすごく難しい、というのを肌で感じています。
そういう方はやっぱりリファラルで転職していくんでしょうかね。。。 母数も少なそう。
私生活の仕事周りのこと
EMの学ぶべきことを体系化してQiitaに書きました
個人的には、今年一番の仕事だと思います。
出発点は「自分用」でしたが、人に見せるからにはと気合を入れて書いたので、じわじわ色んな人に見ていただけていて嬉しいです。
エンジニアリング組織の理想形はドラえもんで、それに近づくための行いがエンジニアリングである と自分の中でちゃんと定義できたのはよかったです。
副業をはじめました
知り合いからお誘いを受け、ある会社でフルリモートの副業をはじめました*4。
現職に3年もどっぷり浸かっているとドメイン知識でチートできてしまうことが多く、リーダー業をやっているのでコードを書くことも減ってしまいました。
実際にコードを書いてみると思った以上に書けなくなっている&初めて知ることがまだまだ多くあって、未熟さを知る機会が減っていたんだな、と言葉ではなく心で理解できました*5。
また、今の職場のスタンダードが世間のスタンダードじゃないと知ることも多く、特にコミットの粒度やPRに何を含めるかは全然気を配っていない部分だったのでものすごく勉強になりました。
それから、開業届を出したり収支を記録したりするのも勉強になりますね。年明けの初確定申告をちゃんと乗り切れるのかどうか……
経費で落とすのをうまく活かせてない気がするので、今年はもう少し勉強して制度を上手く使って行きたいと思います。
たくさん本を読んで読書法が固まってきました
詳しくはこの記事で。
ネタ記事っぽいですが、
という手法が案外うまく回っています。
精読は節ごとに3行で要約するので国語のテストみたいな勢いで読んでいて、当然時間はかかるのですがその分しっかり記憶に定着するし、再読するときにまとめた記事を検索すればどの箇所に何が書いてあるかが引っかかるのでとても便利です。
いまは「独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法」を読んでいるのですが、こちらは通読を追いかける形で精読を行っていて、こういう形もありだなあと思っているところです。
「独学大全」でまた読書法を改善できそうで楽しみ。ITエンジニア向けではない箇所もあるので、そこを補足する記事が書ければ良いなあ。
ちなみに、今年読んだ本で主要なものは、以下のとおりです。
- アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~
- SQLアンチパターン
- Amazon Web Services 基礎からのネットワーク&サーバー構築 改訂3版
- エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング(精読のため再読)
ほんとなんでこの辺学生時代に読んでおかなかったのか……いま追いつこうと必死です。
私生活のこと
合唱団をやめました
社会人1年目から4年続けてきた合唱団をやめました。
どちらかといえば歌そのものよりは自分が上手くなっていくのを楽しんでいたので、壁にぶつかったときに乗り越えて行くだけのモチベーションをひねり出せず、社会人が趣味にガチで取り組むことの残酷さを知りました。
一人で続けられるなら一時的に距離を置くこともできるのですが、合唱の場合は上手く歌えなかったり練習休みがちになったりすると周りに迷惑がかかっちゃいますしね。
合唱は学生時代にはじめたのですがちゃんと上手くなれなかったのが心残りで、それを解消するのが社会人で歌を再開した目的なのですが、少しは上手くなれた気がするのでその意味では満足しました。
自宅の作業環境を改善しました
コロナ禍で自宅で仕事をすることが増えたので、椅子とマウスを高いやつに変え、HDMI切替器を買って仕事用Macをつなぎやすくしました。
飲み歩かなくなって酒代が余っていたため、意外と予算はすんなり用意できました。どれだけ飲んでたんだ俺。
リモートワークが始まった頃からずっと腰とお尻が痛かったので、特に椅子にはお金をかけました。
政府支給の10万円の入金を確認してすぐ大塚家具に行き、予算10万で椅子を探してその場で購入。
みんな同じことを考えているのか納品に2ヶ月半もかかりましたが、ずっと座ってても疲れないし、姿勢は悪くならないし、最高の椅子です。
机周りが散らかってて恥ずかしいですが、こんな感じです↓
その他
料理をする回数が増えました
もともと好きだったのに自粛期間で自炊が増えたのが相まって、料理をする機会が増えました。
包丁の扱いや調味料の役割は結構覚えてきましたが、火加減が難しいですね。恨むべきは熱力学方程式……Cooking for Geeksは積んでしまっていますが、読んで試すと勘所が掴めてくるんでしょうか。
それから、とりあえず旨味たくさん入れとけば美味いものが作れるので、そこに甘えている気はします。野菜と肉ときのこを出汁で煮込んで塩気を足せばとりあえず美味いので。
料理の本を買って色々と試していますが、カロリーを抑えるのは二の次になるので一度は引っ込んだお腹がむくむくと……
10月に稚内に行きました
2021年3月に日本最北の無人駅、秘境駅ランキング27位の抜海駅が廃止になる*6とのことだったので行ってきました。
大正時代の開業時に建てられた木造駅舎は往時の賑わいを思わせますが、一歩駅を出ると背の低い草が生えた道北らしい原野が広がり、このギャップがたまりません。
ところで、旅行した日程では羽田から稚内空港に直通便がなく、稚内に行くのにもこの抜海駅のある宗谷本線を利用したのでした。
旭川駅から特急サロベツに乗り、天塩川沿線の無人地帯を電車だけが走り抜けていく様子を眺めながらの鉄道旅は「旅してる感」が半端ではなく、最高の体験でした。
しかも、沿線は終わりかけの紅葉で美しく、終着駅は最果ての地、電車に乗ったのはお昼なのに稚内につく頃には真っ暗で、電車を降りると真冬の気温に高緯度地域特有の暗さ。
たとえ目的地が一大観光地でなくとも、旅情を感じるための旅というのは良いものです。
それに、とりあえず行くだけで満足できるという意味で「楽しめなかった」ということがないため、旅行先としてハズレはありません。
感染拡大を抑えつつ経済回すには、人の集まる場所ではなく、人の少ないところに行くべきですしね。
写真は宗谷岬に出ていた虹です。雨が降ったり止んだりはっきりしない天気でしたが、それが逆に良かった。
こういうの、このブログじゃなくてnoteにでも書くべきなんだろうなあ。
SHIROBAKOの記事はこっちに書くんですけどね。
2021年について
今年は、
- 「アジャイルな見積りと計画づくり」を読んで実際にチームに適用したこと
- EMの学習内容体系化の過程でEMの役割を定義でき、自分に足りないスキルが明確化できたこと
から、マネージャーとしてやるべきことが見えた年でした。
その分、技術的な仕事をすることがぐっと減ってしまい、副業を通して実力不足を感じたり、インフラやCI/CDが無視できなくなってきたりした年でもありました。
「組織の問題を仕組みで解決する力がなまじ上がってきたばっかりに、技術で解決できる問題をマンパワーで解決してしまう」ケースや、
「技術に対する解像度が足りなくてタスクを適切な粒度で切れないため、解決に着手できない」ケースにぶち当たることがあり、
いよいよ腕を磨かないといけないのでは……という気分になっています。
自分は何かを始めるときに理由が必要なタイプな上、学ぶときはできるだけ楽がしたいので、
「OSSのコードを泥臭く読んで全体の構造を理解して、不具合を見つけてPRを出す」みたいなモチベーションが湧きにくく、
プライベートでコードを書くことが減ってしまっていたのでした。
技術の世界で天才と言われるのは「好きなことを興味のままに突き詰めていく中で、ふと後ろを振り返ったら誰もいなかった」みたいなタイプで、そういう人が新しい価値を生み出していきます。
一方で、自分が得意なのはその逆で、誰かが生み出したモノを学んで理解すること。
学ぶスピードは人より速い自負はありますがあくまで先人の努力に乗っかっているだけだし、幅広い分野に興味はあるものの突き詰める前に興味が薄れてしまいます。 決して技術の世界で自ら道を作れるようなタイプではなく、この先どうしようかなと思っていました。
しかし、このように必要に迫られてまた技術を学ぶモチベーションが湧いてきたとき、「ああ、自分はこうやって腕を磨くのが良いんだな」と気付くことができました。
スペシャリストとして突き抜けている人にはスター性があってどうしても憧れてしまいますが、ジェネラリストだって悪くないです。
そんなわけで、2021年は特定の目標を持たずに必要に応じて都度学んでいくことにします。
あえて目標をかかげるなら、「必要だと思ったことにはすぐ手を付ける」でしょうか。積ん読バックログの先頭に必要なモノを持ってくる機会を増やさないといけませんね。
あと、挫折し続けている個人サービスの開発を今年はどうにかしたい……
まとめ
- 2020年はリーダー業に勤しみ、EMアドベントカレンダーに渾身の記事を出せた
- 読書法が固まってきて本の消化ペースが上がった
- スペシャリストへの憧れとそうなれない自分とのギャップに苦しんでいたが、ジェネラリストも悪くないと思えた
どえらい長文になりましたが、1年間のまとめなのでこれでも結構雑じゃないかな……