「 『文章術のベストセラー100冊』のポイントを1冊にまとめてみた。」をまとめてみた。
今年の頭に、こんな本を衝動買いしてしまいました。
公私ともに文章を書く機会が多いので、書店に平積みにされているのを見て思わず手にとってしまったんです。
先日読み終わって良い本だったので、内容をまとめてブログにしておきます。
この手の本の書評(?)を書くと「文章術の本を読んだくせに全然文章上手くねーじゃねーか」というツッコミが必ずやってくるの*1ですが、素人の戯言だと思ってお手柔らかにお願いしますね。
ちなみに、自分は技術者なので、相手に過不足なく誤解なく伝えるための技術的文章を書くことを念頭に置いて読んでいます。
なにが書いてあったか
文章術について書かれた本を100冊選書し、共通して書かれていることの多いテクニックを40個掲載しています。
40個といっても淡々と羅列するのではなく、
- 7つの基本ルール
- 13のポイント
- 20の秘訣
とわけて、重要な順にページ数が割かれているという構成です。
また、巻末には100冊の選定基準と内訳が明記してあります。
なにがよかったか
あらゆる文書に通用するテクニックが書かれている
選書の際にジャンルは不問としてあるので、小説家、コピーライター、学者、ブロガーなど様々なタイプの作者の本が選ばれています。
これらの共通のエッセンスを抽出しているため、特に上位に選ばれたテクニックはあらゆる文書に通用するものといえます。
章立てが明確で重要度がわかりやすい
「1テクニックに1章」「重要な順に並べる」「重要なものほどページを多く割く」という、基本を大事にした構成になっています。
これによって、単に最初から読めば重要な順にテクニックを身に着けられるようになっています。
書誌としても使える
巻末に文章術の本が100冊載ってます。
文章術の本を探す際の書誌(図書目録ともいう)として使え、この2ページがあるだけでも高い価値のある本といえます。
テクニック数40は多いのでまとめ直した
そんなわけでとても良い本なのですが、エッセンス40個は多すぎてちょっと覚えきれないですよね。
こういうテクニックの類は「概要だけ頭に入れておいて必要に応じて検索する」くらいがちょうど良い、というのが自分の考えです。
そこで、
- 40個のテクニックをGoogle Jamboardを使ってグルーピング
- グループへ名前をつける
- 複数のグループに属するテクニックは、あとから付箋を複製して対応
という流れで、整理してみました。
その結果がこちらです。
グルーピングの結果11個まで減りましたが、11個でもまだまだ多いですよね。
人間が短期記憶に保持できる数はだいたい5から9個*2と言われてますので、さらにグルーピングします。
ただ、もうグループになっているものをさらにグループ化するなんてどうしたものか。
11個のグループを眺めながらうんうん唸っていると、グループが謳っているテクニックが「どんなレベルの文章に要求されるか」が異なっていることが見えてきました。
すなわち、
- 日本語として意味がわかる
- 筆者の意図が正確に伝わる
- 筆者の意図が正確かつ容易に伝わる
- 筆者の意図が正確かつ容易に伝わる上に、面白く読める
の4つのレベルです。
唯一「実際に書くことで試行錯誤」はどこにも属しませんが、このグループだけが文章の内容に言及せず作成のプロセスに言及しているので仕方ないでしょう。
上記を踏まえて整理したものが下の図になります。
はい、割ときれいになりました。
Google Jamboardの方も載せておきますね。
2021-08-11_「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。 - Google Jamboard
上記の内容を改めて箇条書きでまとめ直すと、こんな感じになるでしょう。
- まずは日本語としてわかる文章を書くため、わかりやすい言葉選びと正確な語法を心がける
- わかってもらった上で意図が正確に伝わるように、思考の過程をシンプルな文章で書く
- 意図が正確なだけでなく容易に伝わるように、型を使って文章を書き、見た目にも気を配る
- 意図が伝わった上で面白く読めるように、読者視点を意識しつつオリジナリティを出す
- 上記の過程を踏むため、実際に書いて試行錯誤する
文章術の本100冊が五箇条にまでまとまりました。
これを覚えておいて必要に応じて調べて使いましょう。
技術的な文書を書くときは
エンジニアブログですので、この点にも言及します。
この際に特に気をつけることは、「理科系の作文技術」に書いてあります(もちろん「100冊」に含まれています)。
理科系の仕事の文書を書くときの心得は
(a) 主題について述べるべき事実と意見を十分に精選し,
(b) それらを, 事実と意見とを峻別しながら, 順序よく, 明快・簡潔に記述する
ことであると要約できる.
木下是雄(1981). 理科系の作文技術 中公新書 pp.6
ですので、上記の五箇条でいえば上の2つ、できれば3つを意識した上で、事実と意見を峻別することと言えるのでないでしょうか。
「事実と意見の峻別」については、「理科系の作文技術」でまるまる1章割かれていますのでそちらを読みましょう。
「オリジナリティを出して面白く」なんて簡単にできたら苦労しませんが、こちらは技術なので修得できそうですね。
もちろん、試行錯誤の具体的なやり方は「まとめてみた。」の本の中に書かれています。
まとめ
- 「『文章術のベストセラー100冊』のポイントを1冊にまとめてみた。」は良書だがテクニック数40は多いのでまとめた
- 文章テクニックは意味が通る→正確に伝わる→容易に伝わる→面白く読める の4段階に対応したもので、試行錯誤でこの過程を踏んでいく
- 技術文書は正確に、できれば容易に伝わるラインまで確保しつつ、事実と意見を峻別
名文家になるのは難しいですが、せめてわかりやすい文章は書きたいもんですね。
それでは。